@ 2016 by snow sound /shasin no heya

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​長編 エナメルの夜を泳ぐ魚達

#-02 ハル

ハルは薄暗いオレンジ色の照明の中で、銀色のアルミのプレートに映し出されている赤いデジタル表示の数字が変わっていくのを見つめながら、恵比寿から虎ノ門に着く間のタクシーのラジオから流れていたクラッシックのメロディーを口ずさんでいた。

「とても綺麗な旋律を生み出す人を私はとても尊敬する。なのになぜ私はこの曲名を知らないのだろう?私はまた、奇跡のメロディーを忘れてしまう」

ハルは自分が音楽家だったら、口ずさんでいるメロディーを音符にして残しておけるのにと思った。オレンジ色の照明が紫色に変わった時、赤い数字が六十六と表示されてエレベーターが止まった。

 603号室の二十畳ほどのリビングにバンドのメンバー四人と、髪が緑色のボブで鼻に金のピアスをした女と、スキンヘッドで肩にクロアゲハのtattooを入れた女がいた。

二人の女は太腿まである赤いエナメルのブーツを履きラバー素材の黒いノースリーブのタートルボディースーツを着て、バンドのベースとドラムの前でひざまずきフェラチオをしていた。

白い壁にはモネの草上の昼食のリトグラフが掛けてあり、猫足のコーナーテーブルの上では六ミリのオープンデッキがゆっくりと回りJBLのスピーカーからDOORSの曲が流れていた。

 レモン色の皮のソファーに座っているボーカルがマリファナの煙をゆっくりと口から吐き出した後、ドアの前に立っているハルを見て、君とは何処かで会ったことがあるかと聞いてきたで、ハルは一度ロンドンのクラブfui fuiで会ったことがあると言った。ボーカルが本当にと緑色の瞳を大きく開き、おおげさに驚いてみせ、また会えて嬉しいと言いながらソファーから立ち上がり右手を差し出した。

「あのクラブは最高だろう?照明とPAが抜群にいいからな、ステージ上の音のバランスも最高なんだよ」

ボーカルはハルの右手首にキスをした。

「今日のライブも最高だったけどな。ライブは見たのか?」

ボーカルの横に座っていたギターが黒猫の顔が描かれたラベルのワインボトルを差し出した。ハルはボトルを受け取り、ギターの横に座った。茶色いマホガニーのテーブルの上にはマルボロとチョコとグラスとパイプとジンとコロナビールと潰れたライムとブルーチーズとレモンと紅茶とベーコンのキッシュとコーヒーとがぐちゃぐちゃに置いてあった。

向かいのソファーに座っているベースとドラムのペニスを鼻ピアスとスキンヘッドが赤い唇で喉の奥まで飲み込んでいる。

「ライブは見てないの、仕事で間に合わなかったから」ハルが言った。

「ビジネス?日本人はいつでもビジネス、そうだろう?そんなに金が大事か?」ギターが小さな声でそう言った。

クリーム色の毛足の長い絨毯に膝をついてドラムのペニスをしゃぶっているスキンヘッドの唇が唾液で光っている。ハルは小学三年生の時におばあさんに買ってもらったセルロイドのミルク飲み人形を思い出した。

「ねえ、シーシーはどこ?私、シーシーに呼ばれたの」ハルがギターに言った。

「あいつの友達なのか?あいつはゲイだぜ」ボーカルがそう言って今日五本目のマリファナに火を点けて笑った。

「マネージャーは此処には居ないよ。EMIのプロモーターと消えたよ。あいつに日本人の友達がいるなんて知らなかったよ。それも女の子の」ギターがハルの唇を見つめながら言った。

「シーシーとは一度だけファッションショーの仕事をしたことがあるの」ハルが言った。

「ファッションショー?君はモデルなか?そのチョコレート色のワンピースはイッセーミヤケか?」ボーカルはそう言うと、テーブルの上からジンを選びグラスに注いで飲み干した後に、ハルに短くなったマリファナを薦めた。

「私はドラックはやらないの」ハルが言った。

ドラムのペニスをしゃぶっていたスキンヘッドが顔を上げてハルの顔を見つめた。スキンヘッドの唇から唾液が糸を引いて絨毯に落ちた。 

「あんたの顔、何処かで見たことあるよ」スキンヘッドが言った。

「あ、あんたモデルのハルでしょう?アンアンとかキューティーに載ってるの見たことあるよ」スキンヘッドはそう言うとまたペニスをしゃぶり始めた。

舌ったらずの話し声と幼い顔立ちを見て、ハルはやっぱりこの子はミルク飲み人形だと思った。鼻ピアスがベースのペニスを根元まで咥えながら頭をゆっくりと上下に動かすのを止めて振り向き、ハルを見た。

「あんたもロックが好きなの?グランジとかパンクとかゴアとかトランスとかニューロマンテックとか好きなの?」

ハルは何も言わずに、鼻ピアスの潤んで充血している目を見つめて微笑んだ。

「私はリズムのいいバンドが好きなの」スキンヘッドがドラムのペニスを右手で上下にしごきながら言った。

「曲の中にね、一小節でも体に合うリズムがあるとそのバンドの為なら死んでもいいと思うの。私の心中にはフワフワと浮いている黄色いピースマークの風船があって、リズムで心の空間を埋めていくと、そのピースマークが押し潰されて、そこから本当の私が生まれてくるの。いまこの部屋に流れているCRYSTAL SHIPにだって心の空間を埋めてくれるリズムがあって、今、私は本当の私なの。だから私はドラマーが好きなの」スキンヘッドは私の言った事が貴方に分かる?と言う目をしながらハルに笑いかけて、濡れた唇をドラムの太ももに擦り付け、またペニスをしゃぶり始めた。ギターがテーブルの上に6cmのコークの白い線を四本引いて、ナイチンゲールが微笑む十ポンド紙幣を丸めて細い筒を作り、それを左の鼻にあてて細いラインを二本続けて吸い上げた。ギターは大きく息を吐きながら咳き込むと、ハルの肩に頭を乗せ、ハルの着ている恵比寿の駒沢通り沿いにある古着屋ゾラで買った茶色いベルベットのワンピースの中に手を入れて、かすれた声で君のパワーを僕に分けてくれと言った。

「ジミヘンドリックスのAXIS:BOLD AS LOVEというアルバムを聞いたことがあるか?」ギターの指がワンピースの中で下着の薔薇のレースの線に沿って動く。

「私は六曲目のLITTLE WINGが好き」ハルはギターの短い金色の髪の毛に指を差し入れ頭を撫でた。

「あのアルバムの曲は全てクールなんだ。シーシーはそんなアルバムは知らないと言った。信じられるか?あいつは、金の為に音楽を利用する。俺たちは音楽を続けるために奴を利用する。俺は自分がギターを弾くことを必要としているのを知っている。シーシーは金を必要としているのを知っているし、あのプッシーはリズムとペニスを必要としている。」ギターは殆ど聞き取れない声で、ドラックは音楽と同じぐらいに必要なんだと言って、ワンピースの中から手を抜くと、細く丸めた十ポンド紙幣をハルに渡して、ソファーの背もたれに頭を乗せて、白い天井から吊り下げられてオレンジ色の光を反射させながら微かに揺れているクリスタルのシャンデリアを見つめたまま、動かなくなった。

「必要とか知っているとかって、なに?言っている意味が分からない」ハルはナイチンゲールを手のひらで転がしながらゆっくりと部屋の中を見渡した。茶色のマホガニーのテーブルの上に引かれた二本の白いライン、スキンヘッドと鼻ピアスの口から溢れて流れる白い唾液、天井をみつめたまま動かないギター、マリファナをパイプに詰めているボーカル、猫足の白いコーナーテーブルの上でゆっくりと回っている六ミリのオープンデッキ、部屋の中を漂う甘い煙、窓から見えるオレンジ色の東京タワー。

 その時、パチンと誰かが頭の後ろで指を鳴らしたような音が聞こえ、何か焦げた甘い匂いが鼻についた。その匂いが鼻の奥から喉を伝って肺に入り血管から血液に染み込み体中に流れ出した感じがしてそれは、子供の頃にあれをした時に感じた感覚と同じであれはハルをとても心地よくさせた後に必ずハルの心を汚した。ハルの心臓が微かに強く鼓動を打ち始め白く細い腕に血管が浮き上がり焦げた甘い匂いは鼻の奥で広がり、ハルは鼻をすすりながら音がした後ろを振り向いた。振り向いた瞬間、オレンジ色の光がストロボのように光り視界からホテルの部屋と音が消えてクリーム色に塗られた真鍮ベッドで眠る小さな女の子が一瞬見えそれから目の前が黒色で何も見えなくなった。

「お願い、ここでは駄目」ハルは心の中でそうつぶやきながらシルバーのマニキュアを塗った爪を噛みながら瞼を閉じた。瞼の裏で赤と紫と緑色が混ざり合った光がフラッシュバックした後、茶色いテディーベア、ペパーミント色に塗られた木製のベランダ、白いプラスチックの椅子、雨、全てが美術館で見るとても古い絵の様な色合いで、ハルの瞼の裏で赤と黄色とピンクが混じりあった光と一緒にスライド写真の様に映し出されて消えていった。ハルの瞼がリズムの悪いドラムのように痙攣をしている。小刻みに体が震え、ハルは両腕で自分を強く抱きしめた。クリーム色のベッドで眠っている女の子が長いまつげの瞼をゆっくりと開き顔を傾け、表情の無い顔でハルを見つめた。女の子がベッドから起き上がろうとして小さな手を開いてハルに向かって差し出している。ハルの心臓の鼓動がスピードをあげ血液を高速で体中に押し出していく。ハルは深い呼吸を繰り返しながら、頭の中に誰かが手を入れて何かを引き出そうとしているような感じがして、頭を左右に激しく振った。女の子はベッドから起き上がるとハルに向かって、「貴方は淫乱で汚いの、私、知っているよ」と言い、キャッ、キャッと笑いながらベッドの上で飛び跳ねた。スプリングの軋む音がハルの耳の奥で鳴り響く。

「一緒にこのベッドで寝ようよ」女の子がハルに向かって両手を差し出した。

ハルは頭を左右に振りながら女の子を見つめ、女の子は悲しい表情で右手を自分の太ももの間にゆっくりと差し入れた。

「やめて」ハルは小さなかすれた声で唇を動かした。女の子は唇をかみ締めてハルを見つめたまま、右手を動かし始めた。

「やめて」ハルがかすれた小さな声でもう一度言った。女の子はハルの唇を見つめながら太ももの間から右手を抜くとヌルヌルで光っている小さなピンク色の爪を小さなピンク色の舌で舐めてから、ベッドから下り、マホガニーの床にきちんと揃えて置いた少し大きめのスリッパに白い肌の小さな足を入れて、ペタペタと音を立てながらハルに向かって歩き出し濡れて光っている右手を差し出した。ハルは近づいてくる女の子から漂うメスの匂いと、体が小刻みに震えている音、頭の前頭葉で血管が大きく脈を打つ音、半開きの唇から漏れている空気の音、体中の粘膜から溢れ出すドロドロの体液の音を聞いた。女の子が発する匂いと音と液体にハルの体が共鳴してオマンコからヌルヌルの体液が流れ出している。

ハルは自分の体が小刻みに振るえながら女の子の全てを受け入れ始めていることを理解し、そして、罪の意識と快楽が交じり合いながら心の空間を埋めていく快感によだれを流しながら喜んでいることを自覚した。 

「鼻の中に広がる、焦げた甘い匂いは、あの女の子の体液の匂い、そう私の匂いだ」     

ハルは座っていたソファーから立ち上がると シルバーのエナメルを塗った指を二本、自分のオマンコに入れた。膣の襞がうねりながら根元まで入れた指に絡みつきドロドロの体液が太ももを流れ、小指をアナルに入れようとした時、女の子がハルの足にしがみついた。

女の子は、指を入れたままのハルの顔を大きな瞳で見上げると一度瞼を閉じてから微笑みかけて、そのままゆっくりとハルの体の中へ消えていった。瞳を大きく見開き唇をかみ締めながらハルは、心の中に広がっていく甘い匂いを感じた。それはとてもハルを心地よくて幸せな気持ちにさせてくれた。オマンコに入れた指を抜いてそれを口に入れようとした時、頭の後ろでパチンと指を鳴らす音が聞こえた。瞼の裏で、オレンジ色の光とクリーム色の光が交じり合いながら黒の中に小さな点を作りその点が瞬間にハルの瞼に広がりハルは瞳に痛みを感じながら瞼を開いた。ぼやけて見える視界にゆっくりと回るオープンリールが見える。足の指は毛足の長い絨毯に沈み、ハルは一度深く息を吸い込むと、両手で自分の顔を覆った。

「どうかしたのか?」ボーカルは突然立ち上がりワンピースの中へ手を入れて何か聞き取れない声でつぶやいていたハルに言った。ハルの目の前にマルボロを銜えているボーカルの顔が見える。

「顔の感じが変わったように見えるのは気のせいか?」ボーカルが言った。ハルはボーカルの声に首筋を舐められたような気がしてボーカルの唇を見つめた。

「ハル、大丈夫か?」ボーカルがハルの肩に手を掛けた。ハルはその声を聞いて早くボーカルが自分を犯してくれたらと思った。ハルはボーカルの手を取ると大丈夫と声を出さずに言って、頭を軽く左右に振りながら俯いた。足元にギターが渡したナイチンゲールが落ちている。ハルはそれを拾い上げるとソファーに座り、テーブルの上のワインをボトルのまま飲んだ。ワインを飲んでいるハルを、スキンヘッドがドラムのペニスを上下に動かしながら見つめている。窓から射している月の明かりがスキンヘッドと鼻ピアスが履いている赤いエナメルのロングブーツに反射して魚の鱗の様なコントラストを作り、それがハルには小さな女の子の舌に見えて、二人が咥えているペニスを私のオマンコとアナルに入れてもらえたらどんなにいいだろうと思った。ハルはまだ鼻の中に甘い匂いが残っているような気がして鼻をすすり、水分のなくなったざらついた舌で唇を舐めた。

「もう、この部屋に居ては駄目」ハルが鼻ピアスのしゃぶっているペニスを見ながらそう呟いた時、ベースのペニスからクリーム色の精液が噴出し、テーブルの上のギターが引いた白い二本のラインの間にベッチャッと音をたてて落ちた。その音がハルの頭の後ろで、べちゃっ、べちゃっっ、べちゃちゃっっ、べちゃべちゃっっっ、ちゃっ、ちゃっ、っっ、べっ、べっ、ちゃっっっ、っ、っ、っ、とリズムを刻み、ハルはその不規則なリズムを心地よく感じた。

「このリズムはあの子が私に教えてくれた音と同じ」ハルの呼吸が速くなっていく。鼻ピアスがペニスをゆっくりと流れて落ちていく精子を左手の人差し指と中指ですくい取り、二本の指を根元まで口の中に入れて音をたててしゃぶった。そのジュユユユユウウウウウゥウゥッッッとしゃぶる音を聞きながら、ハルはオマンコから流れる体液が、パリの十六区リュド・パシー通りにあるアール・ヌーボー様式のくすんだ灰色の建物のランジェリーショップで買った薔薇の花びらが刺繍してある白いシルクの下着をグチャグチャに濡らしてお尻の割れ目に沿って流れていくイメージと、女の子の濡れて光っていた小さな指のイメージが重なり合っていくのを感じた。ボーカルが、テーブルの上に引いてある二本のラインとハルの顔を見て左の目でウインクをした。JBLのスピーカーからDOORSのMOON LIGHT DRIVEが流れる。ハルは手に持っていたナイチゲールが微笑む10ポンド紙幣の筒を右の鼻にあてて二本のラインを続けて吸い上げた。ボーカルがそれを見ながら流れている曲に合わせて、誰にも聞こえない声で歌い始めた。

 ハルは鼻の粘膜から吸収されたコークが毛細血管を伝って神経を麻痺させ心臓が悲鳴をあげながら激しく鼓動を打ち体中に血液を送るリズムに脳細胞から溢れ出すドロドロが脳細胞を破壊していく快楽の音を聞いた。目の前に何色ものビーズのカーテンの様な光の幕が揺れて、その光がハルの周りを包み体がソファーに沈んでいく。ギターが、ソファーの背もたれに頭を乗せたまま口からよだれを流して天井を見つめているハルを見て笑っている。スキンヘッドがドラムの精子が喉に絡んで取れないと叫んでいる。ギターがジーパンを膝まで下ろして自分のペニスを握り締め、オナニーを始めた。

「貴方は少しも悪い子じゃないのよ」ハルの耳元で自分の声が囁いている。グニャグニャにやわらかい空間に体が沈んでそれに包まれている感覚にハルは初めてアナルにペニスを受け入れた時の快感が重なって、ハルは、私は人ではなくてオマンコなんだと思った。

「貴方は少しも悪い子じゃないのよ」ハルの耳元で囁く自分の声に舌を出して求めている自分が見える。

「そう、これが本当の私なの」ハルはソファーから立ち上がるとテーブルの上にあった空のワインボトルをつかみそのまま自分のオマンコに差し入れた。口から垂れたよだれが、糸を引き月の明かりでキラキラと光りながらテーブルの上の潰れたライムの上に落ちた。オマンコが当然のようにボトルを受け入れるとボトルに絡みつく襞がガラスの冷たさに反応し湿気を含んで肌にまとわりつくヌルヌルとした空間が体全体を高速で包み、ハルはその空間の中で今まで心の奥にしまいこんでいた異常なまでの快楽の追求と汚されていく憧れを開放した喜びを感じ、ベッドに眠っていた小さな女の子が感じていた右手の人差し指に絡みつくヌルヌルの心地よい湿った温かさとオマンコが発する甘い匂いと胸の皮膚を刺すちくちくとした痛みを思い出して、今すぐに誰でもいいから私のアナルにペニスを入れてくれたら私はその快楽の為ならなんでもするのにと思い、オマンコに入れていたボトルを抜き取りアナルに入れた。ボーカルはハルが吸い残したテーブルの上に散らばっているコークの粉を右手の人差し指ですくい取るとそのまま自分の歯茎に擦りつけた後、クリーム色の絨毯の上で四つん這いになり尻を高く上げ黒く長い髪を赤いエナメル色の唇でかみ締め細く聞き取れない言葉を発しっているハルのアナルからボトルを抜き取り、窓から差し込む月の明かりにかざした。ボトルのくびれたラインに細く黒い陰毛が絡みついている。ボーカルは四つん這いになっているハルのチョコレート色のワンピースと下着を脱がし、背中にガラスの小さな灰皿とジンを入れたグラスを置き、君は物になれるかとハルに言った。ハルは、アナルからボトルの感触が無くなった時、きっとまたあの人が抜き取ったと思った。あの時の私は自分がしていることがなぜいけないのか分からなかったし、でも、あの人の私を見る驚きと悲しみの入り混じった表情と瞳の黒いところに映っている私はただの汚い物としか思っていないのを知っていた。そして、ママは私に言った。

「貴方はいけないことをしているのよ、もう二度とやってはいけません、もしも、またやったらママは貴方を病院へ連れて行かなければならないの、病院へ行ったら貴方は二度と家には帰れないのよ」

そして抜き取った色鉛筆をゴミ箱に捨てた。

「君は物になったことはあるか?」

ハルは聞こえてくる声がママの声ではなくて男の声だったからとても不思議に思えたけど、もしかしたらこの声は私のオマンコが濡れて気持ちよくなって汚してほしいと思ったときにいつも頭の後ろで指をパチンと鳴らす人ではないかと思って、きっとこの人ならすぐに私のアナルになにか気持ちがよくなる物を入れてくれるだろうと思ったから、入れやすい様に尻を高くあげた。

「今、君は人ではなくてテーブルなんだ、分かるか?」

ハルは、恵比寿の駒沢通り沿いにある小さな雑貨屋で見つけたペパーミント色の小さな丸い三本足のテーブルを思い浮かべた。そして、そのテーブルは私で、髪が長くて赤いワンピースに白いタイツを穿いている小さな女の子がお母さんと二人で私を買っていくところを想像した。ボーカルがハルのアナルにゆっくりとペニスを入れた。ハルの背中の上で、灰皿とグラスが揺れる。赤いワンピースの女の子は私を自分の部屋へ入れてくれた。部屋の白い壁には女なの子がクレヨンで画用紙に書いた家族の絵が貼られていた。黄色の大きな太陽の下、緑色の芝生の上でサンドイッチを食べている。

「私は、汚れているのにお部屋に入れてくれるの?」ハルは女の子に聞いた。

女の子はハルの上にマーガレットの鉢植えを置いた。そして毎日花に水をやっている。その女の子の笑顔を見ながら、ハルはもっと自分を汚してくださいと言った。ボーカルがハルの尻に爪を立てて、アナルに深くペニスを入れていく。オマンコからヌルヌルの体液が流れて、太ももを伝い、糸を引きながら絨毯に落ちた。ハルの背中に置かれたグラスが落ちて、絨毯の上を転がっていく。絨毯にこぼれて毛先についたジンの小さな水滴はキラキラと光りながら吸い込まれていき、ハルは吸い込まれていく水滴を見つめながら、マーガレットに水をやっている女の子にもう一度、私を汚してくださいと言った。女の子は何も答えず、水をやっている。ハルは水滴でキラキラと輝いている白い花と土に吸い込まれていく水を見て幸せを感じた。ボーカルがアナルの中に射精した時、鼻の奥でまた甘い物が焦げた匂いがして、やはり今ペニスを入れている男は指を鳴らして私を汚してくれる人だと思ってペニスをきれいにしてあげようと跪いて顔を見上げた時、見えたのはマルボロを咥えているボーカルで、がっかりしたけどペニスを舌できれいに舐めていると、もうそんなことはどうでも良かった。

 ハルはボーカルの精子を飲み込んだ後、マリファナに火を点けているボーカルに物になるとはどうゆうことなのかと、聞いた。

「心を開放することさ」ボーカルはそう言うとマリファナを深く吸い込み、残りをハルに渡した。

「開放?」ハルが言った。

「そう、ハル、人間は他人には知られたくはない何かを心の中にしまっていると思わないか。それはどんな奴でもさ、神でさえ持っていると思う。だって、奴の為に沢山の戦争が起こりどれだけの人が死んだと思う。それなのに奴は姿を一度も見せたことがないだろう。なぜだと思う?それは他人には知られたくない何かを心の中に溜め込んでいるのさ。そして、それが他人に分かってしまうことにとても恐れを感じているのさ。心はそんなことにもう、うんざりしているんだ。自分には何が必要で必要ではないか考えてくれって、もう心を騙したり嘘はつかないでくれって、開放してくれって」ボーカルはそう言うと絨毯の上に転がるグラスを取り、テーブルの上のジンを注いだ。

「この部屋にいる奴らはと」ボーカルが両手を大きく広げた。皆、眠っている。部屋に流れている曲がいつの間にか、DOORSから、Jefferson Airplaneに変わっていた。

ハルはWhite rabbitを聞きながらこの曲のリズムが今の自分に合っている様な気がして嬉しくなった。

「ハル、この部屋に居る奴らは、自分には何が必要で、必要じゃないかを理解しているのさ。そして、必要とか必要じゃないとかそんなことはなんかまったく気にもせずに全てを受け入れて生きているんだ。ハルは心を開放して深いところに沈んでいる何かを吐き出したことはあるか?」

ボーカルは自分の口の中に左手の中指と人差し指を入れて吐く真似をした。ハルは一度もないと言った。

「四つん這いなっていた時のハルはとても綺麗だったよ。とくに首筋から腰のラインは絶妙でロバートプラントの歌を聞いているようだった」

ハルは、マリファナを深く吸い込むと、息を止めて肺に溜まった温かさを心地よく感じながら目を閉じて、ゆっくりと煙を吐き出し、頭の後ろで鳴る音や鼻の奥に広がる甘い香り、ベッドの女の子のこと、マーガレットの女の子のことを考えていた。

「これはすべて私の心の深いところにしまっていた何か、なの?開放?心がうんざりしている?そう、私の心はうんざりしていた。私がいい子でいることに。だってあの人が私を病院へ入院させるって言うから。本当の私を私は受け止めることができるの?」

目を閉じて動かなくなったハルにボーカルは泊まっていくならベッドルームで眠ればいいと言った。

「この部屋にはベッドルームが八部屋もあるんだ。すべてキングサイズだぜ。ホテルの奴らはこの部屋に泊まる人間は皆、女を連れ込んでオマンコを舐めていると思っているか?僕ならベッドルームの代わりに赤い革張りのソファーを沢山並べて置いておくよ。ソファーの上でするセックスは最高だし、ベッドへ誘う手間がはぶけるだろう。今日は赤いソファーはないけど泊まっていくのなら、この部屋で一番いいベッドルームに案内するよ」

ハルは座っていたソファーから立ち上がると赤いソファーがないなら帰ると言った。アナルから精子が流れて太ももを伝った。

「そうか、今日は楽しかった。ハルの体はとても美しい。きっと最高のモデルなんだろうな。シーシーが君と仕事をしたいと思うのが分かるよ。奴はいい奴じゃないけどマネージメントの才能は最高だよ。今日、君が来たことを伝えておくよ」ボーカルはハルの細い腰にキスをすると太ももを伝う精液を左指ですくって自分の口に入れ、君の腰のラインはレスポールより美しいと言った。

「ねえ、私も今日は楽しかった。でも貴方が私に話してくれたこと、私には理解できなかった」ハルはボーカルの緑色の瞳に映る自分の顔を見つめながら言った。

「理解?ハル、君はこの部屋で何かを感じて解放したはずだろう。それを素直に受け止めるだけでいいんだ。ただそれだけさ」

ハルは、ボーカルの言葉に、赤い服を着た女の子がマーガレットに水をやりながら微笑む顔を思い出していた。